封船屋
多少疲れたのか、ようやく笑いがおさまったふうさんがこんなことを言った。

「はぁ…、久々にこんなに笑ったわ。海音ちゃんも泣き止んだし…そうだ、泣かせたお詫びもかねて秘密の部屋を見せてあげましょうか。」


「秘密の部屋…?」

いつの間に現れたのか、アントが足元でしっぽを振って私を見上げていた。
どうやら私を覚えているらしい。


「そう“ひみつのへや”よ。」

にっこりと、だが何かを企む子供のような笑みを浮かべている。
ゆっくり立ち上がると、昨日ふうさんが現れた扉を開けた。

何かがある。本能が感じている。


私は心臓が高鳴るのをとめられなかった。

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