封船屋
「そうですか…。割れた封船はどうするんですか?」

聞こえなかったのか、私の問いに何も答えずに彼女は部屋を出ていってしまった。
私は途方に暮れた。が、慌てて、ふうさんの後を追い掛けた。
歩くのが早くなかったおかげですぐに追い付くことができた。

ついて行った先には、小さな裏庭があった。

綺麗に刈り揃えられた一面の芝生。緑の鮮やかさが空に映えている。
色とりどりの季節の花が、可愛らしい鉢に植えられて命を咲かせていた。


隅には赤い燃えカスが残る、小さな焼却場があった。
「それ…、もしかして焼くんですか?」

あんなに愛しそうにしていた分、ショックだった。

「そうよ。この子の思いはもう、この中にはいない。
思いが伝わったのか、死んでしまったのか…それは私にはわからない。
だけど、もう割れてしまった封船は、蝉の抜け殻と同じなのよ。」

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