封船屋
そう言い終えると、ポケットからマッチを取り出した。マッチを一本とりだすと、火をつけた。
勢いよく火がつくのと同時に、火薬の臭いが鼻の奥まで入り込んだ。

たちまち紅い炎が、赤い封船を包みこむ。

一分もしない間にそれは溶け、変形し、ただの塊となった。

小さな“生”が“物”に変わった瞬間だった。

私は何も言うことが出来ず、塊を眺めていた。


「これでこの子の火葬おしまい。」

呪文のように呟くと、目を閉じて静かに手を合わせていた。
私も同じように手を合わせた。

風に乗って燃えかすが舞い上がった。

残った塊をふうさんが見ていない隙に急いで拾いあげると、ポケットに入れた。

帰り道、私は公園に寄ると一番大きな木の根元に埋めた。

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