冷たい上司の秘密の誘惑
半分くらい食べさせたところで、ようやく、

満足したのか、自分で食べると言い出し、

朝食を食べ始めた。


「これが終わったら、美穂の家に行くぞ」

「え?」


「荷物を取りに行かないと」

「・・・ですね」

あっさりとそんな答えを言った私に、篠田部長は、

少し驚いている。


「…本当に、一緒に住んでいいんだな?」

「・・・何を言い出すんですか。

部長が言い出したんでしょ?こうなったら、とことん付き合います」


そう言ってニコッと笑った私を見て、

篠田部長はフッと、笑みを浮かべた。


…こうして、私と篠田部長の、おかしな同居生活が幕を開けた。

…ただ一つ、これだけは譲れなかった事。

私のアパートを引き払う事だけは絶対にしたくなかった。


だって、篠田部長と私は、

そんな関係じゃないと思ったから。


********


荷物をある程度整理できた私に、

篠田部長は、コーヒーを手渡してくれた。


「明日から、新しいプロジェクトが始まる」

「…プロジェクト、ですか?」
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