ネコがくれたモノ。
「そうだったんだね!」
びっくりしたように俺たちを見てにっこり笑った。
「先に部屋に行ってて。
俺、澄美に話しあっから」
察したように奏響が木島を連れていった。
「澄美」
「ん?」
「なんで、嘘ついたんだよ」
「だって言って欲しくなかったでしょ?
婚約者の候補ですって」
そう言ってオトナっぽい笑みを浮かべる。
そうだな、と俺は頷いた。
「励たちがいるなら帰る。
お父さんに言われて来ただけだから」
「澄美」
「あたしから取り消しといてもらうから」
「は?」
カバンを持って俺をみた。
そして、笑いもせず淡々という。
「だって嫌なんでしょ?」