True〜新選組と消えた記憶〜




『梅の花 壱輪咲いても 梅はうめ』


『うぐひすや はたきの音も ついやめる』


『春の草 五色までは 覚えけり』


『人の世の ものとは見えず 梅の花』





そう、豊玉発句集だ。


あの土方の書いた、下手くそな俳句を纏めた発句集だ。





薫はこの時、思っていたに違いない。


ここに総司が来れば、と。





所替わってここは広間。


平隊士は、既に全員が酔い潰れてしまっていた。





たった1刻と少しの事だったのに、何故こうなるのか。


それは、毎日の労働の鬱憤を全て晴らしたからであった。




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