True〜新選組と消えた記憶〜
薫が庭に出ると、一緒に出てきた猫が薫の横を通り抜けた。
そして、土方の部屋の前の庭の一角にある木まで、一直線に走っていった。
そこにある木は、土方の背より少し高い背丈の木。
見る限りではまだ蕾が疎らにあるだけ。
花が咲いていないから薫には何の木なのか分からなかった。
……………否。
猫「にゃん!!」
薫「猫ちゃん、どうし……………あっ!!」
猫が薫に教えたもの。
それは、木の裏側でひっそりと咲いている一輪の花。
木の中で、その一輪だけがとても早く咲いていたのだ。