LOVE School Life Ⅰ【完結】
「よし、行こうか」

「ちょ、ちょっと待て」


待ってと言う私に構う事無く、結城は腕を引っ張っていく。
何度も声をかけるけど、結城は全てを綺麗に無視して行く。


おい、フルシカトか。


結城は図書室に向かう事無く、その手前にある美術室に入るとこっちを向いた。


「…はあ、図書室に行くんじゃないの?」


やっと解放された私は掴まれていた腕を擦りながら、訝しげに結城に言う。

だけど、振り向いた結城があまりにも真面目な顔で私を見るもんだから、思わず息を呑んだ。


「……」


何も言えずにいると、結城が静かに口を開く。


「何かあった?」

「いや、何も」


そうすぐに返すけど、結城はニコリとも笑わない。
いつもとは違う雰囲気を纏った結城に、私の緊張も高まる。


「…嘘。ねえ、ラブって本当にあっきーの事好きなの?」

「え」


思ってもない質問に、私の動きが止まった。


どうして、いきなりそんな事聞くのだろう。
< 262 / 295 >

この作品をシェア

pagetop