極上エリートの甘美な溺愛

将平とかなり親しいのか、藍香の言葉は荒々しいがその表情は穏やかで、細身の体からにじみ出る温かさに玲華の心はふっと軽くなった。

「男女の色恋なんて、あとで考えればこっぱずかしさばかりなのよ。今悩んでることがあったとしても、時間がたてば笑えるんだからさ、好きなら好きで一緒にいればいいし、好きじゃなかったら会わなければいいの。難しく考えずに、素直に素直に」

テーブルにどん、と置かれたのは黒こしょうの香りが食欲を誘うチキンとレタスのサラダだった。

赤いトマトがレタスの隙間から見え隠れしている彩りに、玲華の視線は奪われた。

「藍香さん、サービスって、いいの?」

将平が申し訳なさそうに問いかける。

藍香はテーブルの上の取皿を将平と玲華の目の前に並べると、手早くサラダを取り分けた。

「将平くんは、うちのばか息子の勉強をみてくれた優秀な家庭教師だからね。これくらいどうってことないのよ。それに、こんなに必死に女の子と話す将平くんを見ることができたなんてラッキーだし。
ばか息子にも言っておかなくちゃ」

大きな笑顔を将平と玲華に向けた藍香は、「温かいうちに食べてね」と言って、その場を離れた。

彼女がテーブルに背を向ける間際、

「ちらりと二人の話が聞こえたけどさ、好きなら好きだっていう理由だけで一緒にいればいいじゃない。お料理と一緒。好きだから食べる。じゃなきゃ楽しめないよ」

あっけらかんと言い放つのを忘れなかった。



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