極上エリートの甘美な溺愛
将平への恋心は確かに残っているけれど、将平のことを好きになって傷ついてきた女の子の気持ちを考えると、なかなか簡単には受け入れられない。
いつか私も……傷つけられるんじゃないかと、玲華はそればかりを考える。
結局、将平の気持ちをこの先繋ぎ止める自信がないのだ。
玲華自身、それほど多くの男性と付き合ったわけではないが、いつもあっさりと振られてきた。
見た目はそれなりに整っている玲華に近寄って来る男は少なくはないが、基本的に真面目でおとなしい玲華との付き合いに満足できず、去っていく男ばかりだった。
『どこが嫌ってわけじゃないんだけど、好きじゃなくなったんだ』
そんな意味の言葉を残して去っていく男性とのつきあいを何度か経験すれば、自分に対する自信は完全になくなり、恋愛には向いていないんだと思いこむのは容易だった。
大学時代、そして社会人となってからのそんな経験は、玲華に将平からの愛情に満ちた言葉を単純に受け止めることを躊躇させるには十分だ。
高校時代、あれほど好きだった将平からの甘い言葉に心は沸き立ち、すぐにでも目の前にある将平の手をとってもいいはずなのに。
玲華はそれができずにいる。
社会に出て、荒々しい出来事を何度も経験した大人の自分には、自分を守ろうとする保護本能が働くのか、思いがけない感情が玲華を包み込んだ。
「もう少し、待ってくれないかな?将平も、今の私をもっと知って、考えて欲しい」
「だけど、俺は、ちゃんと玲華を好きだと……」
将平は、玲華の言葉に焦り、慌てて身を乗り出した。