極上エリートの甘美な溺愛
以前の玲華は、周囲から注目を浴びて目立つタイプではなかったが、彼女が持つ清楚で穏やかな雰囲気は、男性だけでなく女性からも好かれていた。
自分の気持ちをあからさまに出さずに周囲の状況に気を配り、居心地のいい空気を作ることができる彼女に惹かれる人は多かった。
玲華の近くにいる時間が多かった将平には、そんな周囲からの視線に気づかずいつも友達の後ろでにこやかに笑っている彼女をもどかしく思い、時にはいらいらすることもあった。
けれど、玲華への好意を自覚してからは、自分以外からの視線に気づかず少し遠慮がちに俯く彼女にずっとそのままでいて欲しいと願うようになった。
だからといって、玲華に対する自分の気持ちが長続きするとも思えず、玲華に手を伸ばそうともしなかった自分の過去を振り返る度、将平は激しく後悔した。
玲華と気持ちを添わせ、恋人としての日々を重ねたとしても、本当に玲華を大切にできるのだろうかと不安に思い、そしていつも、二人の関係が長続きするとは思えなかった。
女の子との軽い付き合いしかしてこなかった将平にとっては、玲華は手を出してはいけない大切な存在。
長続きしない関係ならば、最初から付き合わないほうがいいと勝手に結論づけて玲華の気持ちを拒んだことに、後悔ばかりの日々を送っていた。
大学を卒業し、夢見ていた職に就いたあとも、女性から向けられる好意は絶えることはなかったが、玲華に対する後悔が邪魔をして、どの女性にも本気になることはなかった。
そして今、将平は玲華と奇跡的に再会し、その奇跡を奇跡として手をこまねいているだけでは済ませられない感情が溢れていた。