極上エリートの甘美な溺愛
「玲華は玲華のペースで、俺を信じられるまで悩んでいいけど、俺にも俺のペースがあるんだ。玲華のことを傷つけないと約束するから、これくらいは我慢しろ。というか、楽しめよ」
将平は、掴んでいる玲華の手の甲を反対側の手の指先でそろりと撫でた。
慈しむように、自分の気持ちを注ぐように。
「将平……えっと、ここは外だし、みんな見てるし」
将平の甘い仕草に、玲華は焦る気持ちを隠せない。
上ずった声をあげ、その手を将平の手から引き抜こうとするが、ぐっと力が込められた将平の手に敵うわけがない。
将平は周囲を気にする様子も見せず、言葉を続ける。
「確かにここは外だけど、これくらいどのカップルもしてる。それに、誰も見ていない。
みんな自分の恋人に夢中で周りのことなんて視界にも入ってないし」
楽しそうに笑う将平の声につられるように玲華があたりを見回すと、確かに周りのベンチに腰かけている恋人たちはお互いに夢中で、周囲になんの注意も払っていない。
「うわ。あのふたり、キスしてる……」
玲華の視線の先には、ベンチに腰かけたカップルがお互いの腰に手を回して抱き合い、そして。
「ああ、キスしてるな。……玲華も、いつかは俺と。とか考えてくれると嬉しいけど」
「な、いつかはって……そんな、まだそこまでは気持ちが」
「わかってる。だから、玲華が俺を信用できて、ずっと付き合っていけると思ってくれるまで、俺はしぶとく玲華の側で説得し続けるから」
それまでの明るく軽快な口調とはがらりと変わり、玲華を包み込むような力強い言葉。
将平は、二度と玲華を拒むようなことはしないと、その思いを込め、更に強い力で玲華の手を握りしめた。