極上エリートの甘美な溺愛
「え?別にいいだろ?俺が玲華のことを自慢したいんだからさ。それに、ちゃんと言葉にして玲華を洗脳するのも俺のことを信じてもらうための作戦だから」
「そんな、作戦なんて、いらないのに……」
あっさりとした声音の将平に、玲華はどう応戦していいのかわからず、次第に声も小さくなっていく。
照れくささのあまり玲華が俯き、自分の足元に視線を落とすと、将平は、ぽんぽんとその頭を撫でる。
他人の前で自分のことをのろけられ、どうしようもなく照れくさいが、それでも頭に感じる将平の手のひらは温かい。
玲華はそれが嬉しくて、ふっと将平に寄せてしまいそうになる体をどうにか耐え、ぐっと足元に力を入れた。
その様子に気付いた将平は、柔らかく微笑みながら、目の前の男性に視線を戻した。
「突然こんなところでどうしたんだよ」
「ん?俺らもデート。な?」
その男性は、にっこりと笑うと、隣で肩をすくめている女性に視線を向けた。
きれいなひとだな、と玲華が見つめていると、二人の視線が合い、女性が玲華に優しく笑いかけた。
「こんにちは」
「あ、こんにちは」
慌てて頭を下げる玲華に、その女性は小さく笑うと、からかうように細めた瞳を将平に向けた。
何か思うところでもあるのか、目の前の二人は顔を見合わせ口元を震わせている。
二人は一体誰だろう、でも会ったことがあるような。
玲華は記憶をたどり、思い出そうとするが、はっきりと思い出すことができない。