極上エリートの甘美な溺愛
まじまじと女性を見ると、ジーンズに包まれた長い足はまっすぐのび、腰の位置は体のちょうど真ん中あたり。
ハイヒールを履いているとはいってもその長さは一目瞭然。
Tシャツを着ているだけのあっさりした雰囲気なのに、生き生きした表情のせいか、とても素敵な姿に見える。
髪だって、茶色の艶やかな髪を後ろで一つに束ねているだけなのに、お洒落に感じるから不思議だ。
「すっぴん……?」
思わず呟いた玲華の声に、
「やだ、まさかそんなのあり得ないよ。すっぴんに見えるようにメイクして、『私は何もしてませーん』って装ってるの」
ふふふっと肩を竦めた女性の顔が、くしゃり、可愛い笑顔で崩れた。
その顔は、よく見れば確かにすっぴんではないけれど、肌を整えて、ルージュとマスカラだけ。
「メイクが濃いと、慎が嫌がるからこれが限界なの」
彼女の言葉に二人は顔を見合わせ笑い声をあげた。
お互いに向ける視線の温かさと空気感からは二人の付き合いの長さと安定感が見えて、玲華は羨ましく思った。
これまで自分が経験してきた恋人たちとの付き合い方と比べてみても、目の前のふたりとはかなり違うな、と少し落ち込んだ。
自分は恋愛という枠に無理矢理当てはめた浅いつきあいをいくつか経てきたに過ぎない。
こうしてお互いをわかり合って、受け止め合う付き合いをしてこなかったとも感じた。