極上エリートの甘美な溺愛
慎の言葉に悔しそうに眉を寄せる将平は、どこか幼くて子供っぽい。
高校生の頃の面影もちらほら見える。
「ねえねえ玲華ちゃん、篠田さんが青い『Rin』を選んだって一発で当てたってことは、やっぱり玲華ちゃんがそれをお願いしたってこと?」
将平と慎のやりとりを呆れたように見ていた千春が玲華にそう尋ねた。
言葉の合間にちらりちらり、将平の様子をうかがっている。
その視線に将平は気づいているようだが、ふん、と目をそらして肩をすくめた。
拗ねた子供のような様子に、玲華はくすりと笑い、ふたりの無言のやりとりを微笑ましく見ていた。
そして、ふっと思いついたように呟いた。
「私は、青より、シルバーの『Rin』がいいな」
迷いのない声でそう言い切る玲華を見つめる将平。
その瞳には、驚きと、そして嬉しそうな感情が素直に表れて玲華は気恥ずかしくなる。
玲華の言葉の意味を、将平はちゃんと理解したらしい。
そして、その場の四人は近くに停まっている将平のシルバーの『Rin』を見つめた。
「あー、なるほどね。ごちそうさま」
慎と千春は息が合ったタイミングで同時にそう言って、真っ赤な顔で戸惑う玲華を
優しく見つめた。
そして、そんな玲華の隣に立つ将平は、この日一番の嬉しそうな顔をしていた。
「あーあ。二人とも素直すぎてからかい甲斐がなくて面白くない」
千春が呆れた声をあげたと同時に、その場に響いた音。
「あ、悪い俺だ」
将平が慌ててポケットからスマホを取り出した。
「は?なんで親父?……ちょっと待ってて」
将平は玲華の背中を軽く撫でると、「もしもし、なんだよ」そう言いながらその場から少し離れた。