極上エリートの甘美な溺愛

玲華が何に落ち込んでいるのかもよくわからず、彼女が今何を求めているのかもわからない。

小さくため息を吐く理由に思い当たるものと言えば、自分と過ごした時間が楽しくなかったのかと、それくらいで。

彼女が普段、何に興味を持ち、何を苦手とするのかも、何もわからない。

わかっていたつもりでも、二人が会わずにいた時間の長さを改めて実感する。

「玲華……」

再会してすぐにこうして一緒に過ごすことができたとは言っても、ふたりが離れていた時間の長さは思っていた以上に二人の障害になっているようにも思える。

そんな二人の間に漂う重さに苦しさを覚えた玲華は、その場の空気を変えるように笑った。

「私は、青じゃなくてシルバーの『Rin』が好きだから。また、乗せてね」

ふふっと笑う儚げな笑顔。

今日何度か見せられた首を傾げる玲華の仕草に、再び将平の鼓動が跳ねる。

無意識に違いないその癖が、将平の気持ちをぐっと掴むことを、玲華は知らないに違いない。

「乗せてね、って図々しいかな……私が将平と一緒にいてもいいのか、わからないし」

苦しげな声。

きゅっと結ばれた唇。

ほんの少しだけ潤んだ瞳からは、涙が溢れて綺麗に揺れている。

決して将平を拒んでいるわけではない視線を玲華から向けられて、将平は思わず両手を伸ばし、玲華を抱き寄せた。




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