極上エリートの甘美な溺愛
玲華に告げた言葉に満足し、沙耶香との関係をようやく自慢できることが嬉しくてたまらないらしい。
「篠田さん、沙耶香とのことちゃんと守ってあげてくださいよ。社内の女の子たちが悪い子ばかりとは思わないですけど、篠田さんを好きな女の子がいつ何をしでかすかわからないし。……女は怖いんです」
わざと脅すような低い声でそう告げると、篠田は真面目な顔で頷いた。
玲華の言葉をちゃんと受け止めたらしい。
「それがわかってるから、沙耶香の言うとおりに今まで付き合いを秘密にしてきたんだ。
葉山にだって、本当は言いたかったと思うけど、お前が余計な気をつかって俺との仕事がやりづらくなったら嫌だって言ってたな」
「はい、それはわかってます。でも、ちょっと寂しいかな……言って欲しかったし」
「だろうな。まあ、これからはせいぜいからかってやってくれ。あいつも本当は色々話したいはずだし、それに、葉山の『将平くん』だっけ?彼のことも気にしていたしな。二人で早く恋バナしたいって唸ってたぞ」
「こ、恋バナって、それに、『私の』じゃないし……」
突然篠田の口を突いて出た『将平』の名前に大きく反応した玲華は、しどろもどろになりながら一応否定してみる。
まだ自分のものではない……と思いつつ、夕べ唇に感じた将平の熱を思い出し一気に体中が熱くなると、あわわと焦り表情を作れない。
「ん?どうした?」
「い、いえ、なんでもないです」
目の前で手を大きく横に振る玲華に怪訝そうな顔を向ける篠田は、普段あまり目にしない玲華の慌てる様子を気にしながらも、それ以上何も聞くことはなかった。
聞かなくとも察しはつく。
きっと、『将平くん』との関係に照れているんだろう。
沙耶香いわく「奇跡的な再会」らしい二人に、何かがあったに違いない。