極上エリートの甘美な溺愛
誰もが一瞬で心を奪われるような強い印象を与えることはないにしても、玲華のその清楚で凛とした魅力は同性異性問わず、周囲からの視線をぐっと惹きつける。
人を見た目で判断してはいけないというが、その内面によって醸し出される見た目の印象は、大抵そのままその人の本質を表している。
綺麗だとかかわいい、という印象ではなく、その人の芯の強さや人間的なバランスは、見た目に現れていると、篠田は思っている。
玲華に対しても、派手さはないものの、自分に厳しく真摯に生きている姿に触れる度彼女のことが好きになっていった。
真面目に自分と向き合う様子は仕事を一緒にしたいと思わせるには十分で、恋愛感情を抱かずとも必要だと思わせる稀有な存在。
きっと、社内の多くの営業担当が玲華と一緒に仕事をしたいと願っているはずだ。
顔を真っ赤にして照れながら、きっと愛しいオトコの事を考えているかわいい女の子。
仕事に向きあう普段の様子からは想像もできないその様子に、篠田は何故かほっとした思いを抱く。
「……仕事での頑張りはとっくに俺も認めてるから、今度は恋愛も、頑張ってみろ。恋愛して気づくことが設計に活かされるんじゃないのか?」
「篠田さん……」
「で。何に落ち込んでるのか知らないけど、そんな気持ちのままじゃいい図面は描けないぞ。……あ、昼から展示場にお客様を案内する予定だけど、気分転換と勉強も兼ねて一緒にいくか?その図面なら明日まで待てるから」
な?と言いながら笑い声をあげる篠田の言葉に、玲華ははっとした。
夕べの将平とのことを気にしながら仕事をしていたことを、気付かれていたらしい。
「やっぱり、ばれてましたね……」
くしゃりと玲華の頭を撫でる篠田を見ながら両手をあげて降参のポーズをとった。
篠田の言うとおり、落ち込んだ気持ちを抱えたまま図面を描いても、お客様が満足する家が建つとも思えない。
玲華はすうっと息を吐き、呼吸を整える。