極上エリートの甘美な溺愛



「葉山、俺がプロポーズする相手って誰だ?」

「え?えっと、それは、沙耶香ですよね?それもかなり近いうちに」

篠田の声に、慌てて答えた玲華。

何の迷いもなくはっきりと口にしつつ、そんな当然のことをどうして今更、と首を傾げた。

すると、その言葉に満足げな表情を見せた篠田がにやりと笑った。

その笑顔は将平へと向けられ、この状況を楽しんでいるようだ。

「その通り。来月のあいつの誕生日にプロポーズするつもりで、それに合わせてあいつが気に入っているRinを買ったんだ。たとえ葉山がどれだけ俺に惚れていたとしても……おい、冗談だからこれ以上睨むなよ。俺がプロポーズするのは沙耶香なんだから、安心しろ」

どこで何を聞いて誤解したんだよ、と呆れた声で肩をすくめる篠田に、将平は大きく体を揺らした。

将平は自分の勘違いに気付いたのか、不機嫌さに細められていた目が徐々に開かれていく。

「俺がプロポーズするのは葉山じゃない。まあ、葉山もいいオンナだと思うけど、俺には手放したくないオンナが他にいるから安心しろ。それと、俺が欲しい『Rin』は青だ」

「あ、はい」

将平を納得させるようなしっかりした口調で話す篠田に、将平はたじろいだ。

ほんの少し前。

ここにたどり着くまでは篠田に玲華を奪われるのではないかと不安で仕方がなかった。

慎から聞かされた言葉に動かされるようにひたすら玲華を求めてここまで来たが、篠田と玲華の反応から、何かおかしいと感じていた。


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