極上エリートの甘美な溺愛

「ははっ。まあ、楽しんでくれ」

篠田はそう言い捨てると、玲華の頭をぽん、と叩いてその場をあとにした。

「うわあ、本物の篠田さんに会っちゃったよ」

さっさと帰っていく篠田の背中を見ながら、慎は嬉しそうな声をあげた。

「やっぱり格好いいよなあ。住宅業界で契約件数トップなんだろ?片桐設計が長い間業界トップでいられるのも篠田拓人の力が大きいって昨日のテレビでも言ってたよ」

「まあ、成績はいいし、顔もいいし、女性にも人気あるよ。ね、沙耶香」

笑いを含んだ玲華の言葉に、沙耶香は口にしていたビールにむせた。

どちらかと言えばクールな印象の沙耶香のそんな姿は貴重で、玲華はにやりと笑顔を浮かべる。

やっぱり、勘違いなんかじゃなかった。

沙耶香と篠田さんには、何か特別な何かがあるはず。

「な、何よ突然。私より、一緒にいる時間が長い玲華の方が篠田さんの事はよく知ってるじゃない」

「そうかなあ」

じっと沙耶香を見る玲華。

玲華は、篠田の車に落ちていたピアスを思い出していた。

あれは、玲華が沙耶香の誕生日にプレゼントしたものだ。

間違いない。

玲華の物言いたげな視線をまともに受けて、沙耶香ははっと気づいたように目を見開いた。

一瞬苦しげに目を細めたかと思うとその表情はあっという間に消され、沙耶香は小さく息を吐きながら肩を竦めた。




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