極上エリートの甘美な溺愛
同期以上の友情を築いていると自負していた沙耶香との関係だが、自分に隠し事があるのではないかと考えて、玲華は寂しさも感じながら、手酌でビールをグラスに注ぐと。
篠田の忠告も忘れて再び一気に飲み干した。
すると、将平が思い出したように声をあげた。
「明日の土曜と日曜、Rinの試乗会があるけど、来るか?」
目の前にいる玲華に向けられた将平の言葉に、玲華は一瞬どきりと体が跳ねた。
自分に試乗会に来て欲しいと思っているのかと誤解してしまいそうな将平の強い言葉。
玲華は思わず頷きそうになるけれど、明日は仕事だと思い出し肩を落とした。
「残念だけど明日は仕事なの。あ……どこで試乗会やってるの?篠田さんも、行きたいんじゃないかなあ?ね、沙耶香?」
にやりと笑う玲華に、気まずそうに視線をそらす沙耶香。
やっぱり……。
玲華は、心の中で小さく頷き、くくっとのどを震わせた。
そして、さらに沙耶香に聞かせるように言葉を続けながら将平に視線を向けた。
「試乗会って行ったことないんだけど、何時までやってるのかな。近かったら、覗いてもいいかなあ。ね、沙耶香?」
沙耶香を覗き込むように呟く玲華に、沙耶香は面倒くさそうな表情ではいはい、と頷き、
「私はショールームでRinに乗ったことがあるから別にいいよ。
で?どこでやってるの?玲華が行きたいみたいだから、将平くん、教えてあげてよ」
沙耶香の言葉に、一瞬ぐっと声を詰まらせた玲華。
まさか、沙耶香からそんな言葉が返ってくるとは思わなかった。
篠田との関係を探ろうとする玲華。
将平との関係に何かを感じているような沙耶香。
二人は視線を合わせると、苦笑し肩を震わせた。