極上エリートの甘美な溺愛
そんな当然のことにようやく気付いた玲華は、高校時代、受け入れてもらえなかった自分の立場を改めて思い出し、切なくなった。
同時に胸に溢れるのは痛み。
好きな人に受け入れてもらえない苦しみ。
そして、偶然再会しただけで、これからどうなるわけでもない二人の関係を実感して情けなくなった。
将平と再会して、どきどきして眠れなくて。
わざわざお昼休みに食事も摂らず、こうして将平の会社までやってきた自分はなんてまぬけなんだろう。
試乗会に誘われたからといって、それを本気にした自分を叱り飛ばしたい。
きっとあの言葉は社交辞令だろう。
今さら、将平に受け入れてもらえるわけなんてないのに。
同じ相手に二度目の失恋を経験したようなみじめさを抱えながら、玲華はショールームから出ようと将平に背を向けた。
土曜日のショールームには多くの人が訪れていて、出入口はカタログを手に入れようとする人たちで賑わっている。
その人ごみから抜けようとしていると、突然腕をつかまれて、転びそうになった。
はっと振り返ると、息を切らしている将平がいた。