極上エリートの甘美な溺愛
玲華の後ろ姿が消えるまで、名残惜しそうに見ている将平の表情は、柔らかくとろけそうだ。
できればこのままランチも玲華と一緒に、と思っていたに違いない将平の残念そうな気持ちもちらほら見える。
仕事に戻らなければならないと言われれば引き止めるわけにもいかないが、ふと思い立ち二次会の店へと誘ってみた。
今晩顔を出すと、店には伝えてあるとはいえ、玲華を連れていくことは考えていなかった。
けれど、思い立った勢いで誘ってみれば、それに応えてくれた玲華。
嬉しい展開に、将平の心は仕事どころではない。
緩んだ口元を引き締めなければと思っても、うまくいかない。
そんな将平の様子をショールームの中から見ているのは同期の慎だ。
彼の隣には、ほんの少し前、将平と並んでいた美女、千春が寄り添うように立っていた。
慎と千春、二人は顔を見合わせにんまりと笑った。
「高校時代、将平が玲華ちゃんの事をふったって言ってたんだけどな」
「へえ。将平のあんなに緩んだ顔を見てるとふるなんてありえなさそうだけどね」
「だよな」
再び笑い合う二人。
小さな笑顔を浮かべたままショールームに戻ってきた将平は、二人の姿を見て、思わず後ずさった。
「な、なんだよ……お前ら」