極上エリートの甘美な溺愛
「ふっふーん。彼女が高校の時から大好きな玲華ちゃんなのね。
本当、予想以上に可愛くてびっくりしちゃった」
「からかうなよ。……まあ、あんなに綺麗になってるなんて予想以上だけどな」
「きゃー。ごちそうさま。お酒が入るといっつも『れいか、れいか』ってうるさいくらいに愚痴ばかりだったもん。ようやく私たちは将平の絡み酒から解放されるんだね」
千春はそう言って将平の背中をばんばんと何度か叩きながら、大きな声で笑った。
将平は、千春の言葉に思い当たるところでもあるのか、焦ったように『うるせー』と言って顔を真っ赤にしている。
将平の中に居座る玲華への思い。
高校時代、親しくなるにつれて思いは強くなり、卒業を間近に控えたころには玲華を自分のものにしたくてたまらないほど気持ちは膨らんでいた。
玲華はそれほど目立つタイプではなく、他人を押しのけて自分の意志を貫こうとする強さを表に出すわけではなかったけれど、将平は玲華がまとう凛々しい雰囲気に引き寄せられる自分を自覚せずにはいられなかった。
けれど。
そんな気持ちを隠すように玲華の言葉から逃げ、卒業以来、会う事はなかった。
会う機会がなければ玲華のことを忘れられると安易に考えていた自分の甘さに苦しみ、玲華を求める自分の情けなさに辟易しながら過ごしていた。
自動車に関わる仕事がしたいと願い、その願いを叶えるための受験勉強も苦しいとは思わなかった。
将来、自分が手にしたい未来へと近づくための努力は苦労ではなく、喜び。
そして第一志望の大学に入学でき、順調に未来への道を切り開いてきた。