極上エリートの甘美な溺愛
「……将平だって、卒業してからいろいろあったでしょ?あの頃よりずっと男っぽいっていうか、格好いいっていうか……えっと、とにかく素敵になってるし」
「……そりゃ、どうも。だけど、特定の彼女はいなかったし。まあ、何もなかったとは言わないけどな」
苦笑し、何かを思い出しながらの言葉には自嘲めいたものが感じられて、玲華はほんの少し首をかしげた。
何もなかったとは言わない、っていうことは、女の子とのそれなりの関係を持っていたってこと……?
ふと浮かんだそんな思いが玲華の顔に出たんだろう、将平は苦しげに眉を寄せた。
「つかず離れずの関係だったってこと。曖昧に濁しながら、女の子と一緒にいたかな」
「彼女じゃない女の子と……?」
「そう。彼女はいなかったし、好きな女もいなかったけど……それなりに楽しんでいたってこと。悪い、がっかりさせたよな。お互い合意だったとはいっても、いい加減な男だよな」
「あ……ううん。ちょっとびっくりっていうか、あ、そうなんだって感じで。
確かに嫌だけど……でも、えっと」
将平から不安げな視線を向けられて、玲華は手元のお手拭きを何度もたたみ直しながら言葉を探す。
将平からの言葉は、決していい気分になるものではないし、悲しいものでもあるけれど、その一方では、どこかそれを受け入れられる思いもある。
心の中を整理するかのように、玲華は小さな声で呟いた。