極上エリートの甘美な溺愛
「あの、えっと。将平が女の子と気軽な関係を続けてきたなんて、それは確かに嫌だし、相手の女の子がかわいそうかなって思うけど。
だけど……」
「だけど?」
一旦口を閉ざした玲華に、次の言葉を促すように、将平が小さな声で問いかけた。
「俺のこと、がっかりしただろ……?」
「うん。がっかりっていうか、他の女の子が側にいたっていうのは切ないけど……。
でも、彼女がいなかったっていうのは、嬉しいかもしれない。
将平が、本気で好きになった女の子がいなかったのなら、そっちの方が嬉しいって思ってしまう私も、勝手だよね……」
ははっと小さく笑い、俯いた玲華。
確かに将平が曖昧な関係で女の子と一緒にいたのなら、それは誉められたものではないし、悲しく思えるけれど。
特定の恋人がいなかったという事実の方が嬉しくて、玲華は将平に厳しい態度をとることができない。
とはいっても、いつ、将平の前に特別な女の子が現れるのかもわからないし、恋人として大切にする人が隣に立つかもしれない。
そう思うと、玲華の心は複雑だ。
「勝手なのは、俺の方だ……」
玲華を見つめ、悔しげにつぶやく将平。
自分の自慢できない過去を玲華に伝えても、彼女から突き放されることなく淡々と受け入れてくれたことにほっとする。
大学時代以降、将平は自動車の設計という夢に対しては真面目に淡々と勉強を続けてきたが、それ以外に対しての向き合い方は決して誉められたものではなかった。