極上エリートの甘美な溺愛
それでもやはり、生来の気質がすっかり変わることはなく、自分の感情を隠すことなく相手に伝える努力は今でも続けている。
ふとした時に顔を見せる弱気な自分と折り合いをつけ、ちゃんと自分の声で自分の思いを伝える強さが今の彼女の原動力だ。
高校時代とはまったく違う彼女の姿は、将平にとっては驚きと、そしてさらに強い彼女への思いへとつながっている。
そして、今玲華が抱えている将平への思いも高校の時とは比べ物にならないほど強いものとなっている。
再会して間がないというのに、将平のことが気になって仕方がないのだ。
制服を着ていた頃の将平よりも精悍になった表情からは、彼が積んできた努力と実績、そして自信が見え隠れし、ときめかずにはいられない。
冗談を言いながら目を細める仕草にも目を奪われる。
記憶の中の将平が大人になり、更に玲華の気持ちを揺らしては高校時代の切なさをよみがえらせる。
「あの頃……本当に将平が好きだったのに」
切なさは玲華の言葉にも表れ、少し震えた。
将平が、今目の前にいる玲華が高校時代のままのおとなしく、守ってあげたいだけの女の子だと思い込んでいるのなら、将平にとって今の彼女は別人のように思えるのかもしれない。
もしかしたら、がっかりされるかもしれない。
玲華の頭にそんな思いがちらりと掠めたが、一度口を突いて出た言葉が、次々と溢れてくる。