極上エリートの甘美な溺愛
玲華は苦しい気持ちを隠すことなく将平に向き合い、そして再び口を開いた。
「私……あの日、卒業したら大学も違う将平とはなかなか会えなくなるから、玉砕覚悟でもう一度告白しようって裏庭に行ったの。だけど、将平はあっさりと美保の告白を受け入れてた。それが悲しくて、すぐに逃げちゃったの」
再び告白するかどうか、自分の気持ちに迷いを隠せないまま、裏庭に行った玲華の目の前には、美保の幸せに満ちた綺麗な笑顔があった。
好きな人に思いを受け入れてもらえた喜びにあふれた表情。
そして将平と見つめ合う視線の温かさから、玲華はただ逃げるしかなかった。
悲しみを胸の中に閉じ込め、将平への恋心も捨て去った玲華は、校庭で写真を撮りあう友達の輪に戻り、泣いた。
玲華の涙を見ても、それは卒業式のせいだと思い、誰も違和感を覚えることはなかった。
単純に友達との別れを悲しんでいるんだろうと思っていた。
周囲の反応を隠れ蓑にして、その日玲華は思う存分涙を流し、そしてほんの少しだけ気持ちが楽になった。
将平との縁が完全に途切れたという悲しみを抱えながらも、素直に涙を流せたあの時間のおかげで、その後どうにか大学生活を送ることができたのかもしれない。
それに。
「美保、幸せそうだった……」