極上エリートの甘美な溺愛
「えっと……なんだったっけ?そうだ、美保と別れたんだ……よね?」
小さな声でそう問いかける玲華の言葉は震えていて、そのことを切望しているような、そんな声音。
確かに将平は美保の告白を受け入れて一旦は付き合い、そしてすぐに別れた。
そのことを玲華が気にしていると気づいてはいるけれど、将平はそのことよりも篠田との関係が気になって仕方がない。
「今の電話、篠田さん?」
「あ……うん、そうなの。明日の朝7時に迎えに来てくれて、お客様の家に直行するの」
「そんな早くから?」
「そう。お客様の都合に合わせて朝から晩まで仕事優先。だから恋人もできないんだよね。土日も仕事だし」
苦笑しながらも、どこかそれを楽しんでいるような玲華の口調に、将平もほっと息をついた。
「俺も、土日は仕事だから、恋人なんてできないな」
「将平でも、そうなんだ」
「でもってなんだよ、でもって」
拗ねたような将平の声に、くすくす笑い、肩を震わせる玲華は、ごめんごめんと言いつつも、からかうような軽い口調で言葉を続けた。