極上エリートの甘美な溺愛
将平のRinはシルバーだった。
新車だとういうこともあって、コインパーキングの中で、ひときわ輝いている。
将平が開発に携わったというその車を間近で見て、玲華は本当に自分が助手席に乗っていいものかと、不安げな視線を将平に向けた。
すると、その視線の意味を理解した将平が、安心させるように大きく頷いた。
「おじゃまします」
玲華が恐る恐る助手席に腰を下ろしたのを確認したあと、将平も運転席に乗り込んだ。
「この座席、すごく乗り心地がいいね。身体が必要以上に沈まないし、背もたれも気持ちいい。見た目より中も広いし。これって……将平の夢がつまってるんだね」
車内を落ち着きなく見回し、弾む玲華の声に、将平は照れくさそうに笑った。
「まあ、俺の夢の一つが叶ったってとこかな」
将平は、シートベルトを着け、エンジンをかけた。
「将平なら、叶えたい夢を全部叶えそうだね。幸運をがんがん引き寄せそうだし」
「……そうなるように努力はしてるけどな。手に入らなかったものもある」
心なしか寂しげな声に、玲華は首を傾げながら運転席を見る。
高校生の頃の将平は、勉強も部活も、人付き合いも。
どんなことも軽々とこなして、そしてそれを楽しんでいた。
将平に無理なことなんてないような気がしていた。