極上エリートの甘美な溺愛
同時に、話しかけることをためらうほどに素敵になったなと、そして大人になったんだなと改めて気づき玲華は視線を外すことができずにいる。
「なに?」
玲華の視線に気づいた将平が、怪訝そうにちらり。
「ん?ううん。なんでもない」
大きく首を横に振って、姿勢を正した玲華。
いつもよりも断然速い鼓動に、さらに緊張感は高まる。
そして、早朝の澄んだ空気の中、車は駐車場を出た。
初めて乗る将平の車に緊張しつつ、玲華は再びちらちらと車内を見回す。
新車特有のにおいや、くもりのないガラス。
整然としていて、ごみひとつ落ちていない車内のどこを見ても新しく、輝いている。
そんな整えられた車内は、手に入れて間がないだけでなく、将平の性格にもよるものだろう。
高校時代も綺麗好きで、彼が着ているカッターシャツにはアイロンがきれいにかけられていた。
誰もが振り返るような魅力をこれでもかというほど備えた男に成長した将平に距離を感じていた玲華は、将平の変わらない部分を垣間見たようで、ほっとした。
「普段、篠田さんの車に乗ってばかりだから、不思議な感じ。そわそわしちゃう」
車内という密室に将平と二人。
その照れくささを隠すように、早口で玲華は話す。
「篠田さんの車って、仕事の資料がいっぱい積んであって、まるで社用車みたいなの。
移動の時にも仕事の話が多いし、落ち着かなくて……。でも、しばらくは、一緒に移動するのも楽しくなるかな。なんといっても、Rinに乗る機会が増えそうだし」
楽しげな玲華の言葉に、え?と視線を動かした将平。
すぐに視線を前に戻しながらも、今聞いたばかりの言葉が気になるのかその表情は硬い。