極上エリートの甘美な溺愛

「そんなに篠田さんと一緒にいるのが楽しいのか?」

「あ、違う違う。篠田さんとっていうよりも、Rinに乗れるのが楽しみなのよ。こんなに乗り心地がいいんだもん、仕事の移動だって今までよりは気分的に楽になりそうだし。
あ、篠田さんね、今日の午後にRinの契約するって言ってたよ。よっぽど気に入ったみたい」

玲華は「将平が頑張った結果だね」と大きく笑い、運転席の将平を見た。

自動車の設計をしたいという夢を叶えるために、かなりの努力を重ねたに違いない。

高校時代の将平の成績はずば抜けて良かったけれど、それは必死で勉強していたからだと知っている。

バスケ部での活躍と並行して、塾に通いながら目標とする大学を目指していた姿は今でも玲華の記憶にはっきりと残っている。

夢を実現するための努力は苦労じゃないと言っていた彼の言葉は、玲華に大きな影響を与え、彼女自身もその言葉に時には励まされながら夢へと近づいてきた。

そして今、建築の道を着実に歩んでいる。

将平と二人で見上げたビルの輝きに魅了されて以来の夢は、玲華にとっての現実へと変わり、優しい笑顔が溢れる家を設計したいという新たな夢が芽生えている。

そんな玲華にとって、将平がこうして夢を叶えて、その夢が具現化した「Rin」に乗っているというのは信じられないことでもあり、感慨深いものでもある。

「篠田さんね、Rinを一目見て、その瞬間買うって決めたんだって」

玲華のからかい気味の声に、将平は照れくささを隠すように口元をぎゅっと引き締めた。

「……まいどあり」

そう言うだけで精一杯、とわかるくぐもった声。

玲華の言葉を喜んでいるとすぐにわかる。


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