極上エリートの甘美な溺愛

これまで男性とデートをしたことがないわけではないし、恋人としての深い付き合いを重ねたこともあるけれど、単純に言葉だけでここまで感情が大きく揺らされるなんて経験はなかった。

いい大人になって、仕事も持って、そして多少のことには笑顔で向き合える自信も得てきたはずなのに。

将平の言葉一つで高校時代の不安定な自分に逆戻りするようで、玲華は戸惑ってしまった。

弱気でおとなしい、人の影に身を隠して曖昧に笑う。

そんな自分を捨て、年齢相応の、地に足をつけた大人に成長したと、思っていたのに。

将平に再会した途端、そう思っていた自分の姿は儚い幻だったのかと思えるほど、玲華の自信はなくなりつつある。

そんなことはない。

ちゃんと、努力もしたし、成長しているはずだ。

玲華は気持ちを切り替えるように、明るく声をあげた。

「デートするには本当に気持ちがいいお天気だね」

助手席に体を預け、流れる景色を見ながら呟くと、「そうだな」と将平も軽く答えた。



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