極上エリートの甘美な溺愛
その後、車内での将平と玲華の会話は、離れていた時間を確認し合うように弾み、次々と言葉があふれ出てきた。
卒業してからの近況報告から始まり、今携わっている仕事のことや興味を持っていること。
大学以降接点がなかった二人にとって、そのどれもが新鮮であり、そして高校生から大人へと成長し、ある意味別人となってしまったお互いを実感する不思議な時間だった。
二人とも、子供っぽさを残した高校生から一変し、一人前の大人の雰囲気を身につけた見た目からもそれは一目瞭然で、そしてそれは再びお互いを惹きつける魅力となっていた。
また好きになりそうだと、玲華の気持ちは大きく揺れて、そして目の前の将平から目が離せない。
「この車、本当に静かだね。すごく気に入った」
照れくさい気持ちを隠すように呟いた玲華の言葉に、将平は視線を揺らした。
ハンドルを握る手にぐっと力が入り、指の色が変わる。
そんな将平の様子に気付かない玲華は、ドキドキする気持ちに折り合いをつけるだけで精一杯だ。
将平の隣にいられることに思った以上の喜びを感じながら、弾む心に流されるように笑っている。
空いている大通りをスムーズに走る車のエンジン音は静かで、二人の会話を邪魔することもない。
呼吸や、小さな笑い声でさえ聞き逃さないほどのクリアな車内。
そのことに気づいた玲華に、嬉しそうに口元を緩めた将平が、意味ありげに呟いた。
「静かな車内……。それって、俺が開発に携わる中で一番重要視していたことなんだ」
「あ、そうなの?車内が静かだと、話も弾みそうだし、旅行の時もそれだけで楽しさが倍増しそうだね」
思い返すように呟いた玲華には、その言葉の裏付けになるような思い出があった。