極上エリートの甘美な溺愛
早朝にも関わらず、水曜日の国道は混んでいた。
将平と玲華にとっては休日でも、世間では仕事に励む人が多い平日なのだ。
仕事に向かう車の列にまぎれながら、玲華はふふっと小さく笑った。
「仕事を始めてから、友達が減ったかもしれない」
「あ、俺も」
「だよね。仕事を始めた時に、それなりに覚悟はしたけど。休日が合わない友達との距離は覚悟した以上に広がっていったもん。だからかな、会社の同期とばかり遊ぶようになっていったな」
寂しい思いを振り返るように話す玲華の言葉に、将平は同調するように笑った。
「自分の休みに学生時代の友達に連絡することも、連絡を待たなくなくなるのも早かったな」
うんうん、と頷きながら、二人は土日が休みではない仕事を持つ寂しさに苦笑した。
住宅会社も自動車会社も、お客様優先のサービス業のようなもの。
土日は営業日となっているせいか、学生時代の友達と会う機会はこの数年でめっきり減っていた。
飲みに誘われても仕事があるからと何度か断れば、友達に悪気がなくても誘われることはなくなっていく。
平日の晩も、お客様との打ち合わせが入れば自分の時間を削ってそちらを優先しなければならない。
入社当時は連絡を取り合っていた友達の数も今ではぐっと減り、なかなか会えないながらも交流が続いているのは数人程度だ。
仕事の忙しさによる疲れもあるのか平日の休みも家でのんびり過ごす事の多い玲華は、休みが合う会社の知り合いと出かける事の方が多くなっている。