極上エリートの甘美な溺愛
これだけ見た目がいい男だから、今まで何もない方がおかしいけれど、確か、ちゃんと付き合った女の子はいないと言っていた。
ちゃんと、付き合っていなくても体だけ、の相手は社内にいなかったのか。
本気にはならず、雰囲気とその時の気分だけで体を重ねていた女の子が、将平にはいたと言っていたけれど。
そんなマイナス思考全開の思いが胸に溢れて、玲華は唇をかみしめた。
自分とは全く関わりのなかった空白の数年を、将平が誰とどんな付き合い方をしていようが、玲華が口出しできるわけもなく、それは既に過去のことなのだ。
今更どうしようもできないし、受け入れるしかないのだろうかと。
悶々と考え込んでいると。
「……あ、ごめんな。俺には無理ってだけで、社内恋愛をバカにしてるわけじゃないんだ。
幸せになった人だって多いし、ちゃんと認めてる。だけど俺は、今でも高校の頃と同じように、人の気持ちは変わるってことに神経質になってるのかもな」
重い空気に包まれている車内を明るくしようと、将平の軽い声が響いた。
「俺、今まで女の子とはいい加減な付き合いしかしてこなかったし、社内恋愛みたいにいずれは結婚、みたいに周りから固められるような視線が嫌で、避けてたんだ。で、別れてしまったらお互いだけじゃなくて周囲も気を遣うし。……だから、無理だな」