極上エリートの甘美な溺愛
そんな自分の中に生まれる身勝手な感情を持て余しつつも、やっぱり将平が誰のものでもないということは嬉しくて、そう思う自分にもやもやとしたままでいると。
すっと車が動き出した。
それと同時に将平の指先が奏でていたリズムも途切れ、玲華ははっと意識を将平に向けた。
相変わらず運転に集中している将平の横顔は落ち着いていて、何も迷いはないように見えるが、ハンドルを握っている手が不自然な色に変わっている。
力いっぱい握りしめるほど、どうしたんだろうと、玲華が首を傾げた。
すると。
「確かに、いつか別れるならそれなりの付き合いでいいって思いながら女の子と一緒にいたし、俺は大した人間じゃないけど、玲華とは、これからずっと一緒にいたいって思ってるから」
「あ……。え……あの。私、も、大した人間じゃ、ないし……」
「これまでのどうしようもない恋愛の仕方を考えれば信じてもらえないかもしれないし、俺だってまさか自分がこんな気持ちになるなんてって思わないこともないけど。でも、俺は、玲華と再会できて良かったって、そう思ってるから」
玲華の戸惑いにも言葉にも構うことなくただ自分の気持ちを伝える将平に、玲華は何も答える事ができない。
社内恋愛について話し始めてから、何故かこんな流れになってしまった。
二人で過ごす初めての『デート』を楽しみにし、服を選んだり化粧に気をつかったりと心弾ませていたのに。