極上エリートの甘美な溺愛
うきうきした気持ちはいつの間にか遠のき、二人の間に堅苦しい空気が漂っている。
交わす言葉ひとつに何か意味がこめられているような、どこか重い展開が続いて。
多少の緊張感を感じつつ助手席に身を預け、時折ちらりと将平を盗み見る。
もちろん、お互いの気持ちの一部を口にしたことで気まずさがあることも否定できないが、それでも。
玲華は将平の懐に少し近づけたように思え、その気まずさ以上の温かさも感じていた。
気まずさと共に触れたのは、将平の本音だ。
取り繕うばかりではない、将平の気持ちの奥を垣間見たように思えて、不思議と心は落ち着いている。
その落ち着きが、自分でも意外に思えて仕方がない。
車窓を流れる街並みは、朝日に照らされて綺麗に輝いていた。
まばゆいほどの光に目を細めながら、「朝早く出かけるのも、いいね。一日が長くて得した気分」と呟きが漏れる。
「ああ。長く一緒にいられるってことだからな」
「あ……。う、ん。そうだね」
将平の落ち着いた声を聞いて、玲華の体は熱くなる。
鼓動だって早いテンポに切り替わる。
そして、赤くなったに違いない顔を隠すように、俯いた。