極上エリートの甘美な溺愛
始まりの告白


それからしばらくして車が止まったのは、先日の『リブロ』と並んで将平が幼い頃から連れてこられていたという海辺のレストランだった。

雑誌で紹介されたこともあるという目の前のレストランは、連日予約がいっぱいでなかなかその料理を味わうことはできないと聞いたことがある。

ここもまた、玲華にとってはなじみのないレストランであり、きっとこれからも自分ひとりで来ることはないであろう場所。

とりたててグルメでもなく、予約を入れてまでおいしいものを食べようともしない玲華にとっては、縁もない、それでいて有名なレストランだ。

駐車場に車を停めていた将平が遅れて玲華の横に並び、ぼんやりと立っている彼女に気付いた。

「どうした?この店、気に入らないか?」

「え?ううん、そんなことないけど。えっと、私でも知っているほど有名なお店だし、入れるのかなと思って」

慌ててそう言う玲華に、将平は小さく笑った。

「いい感じの店だろ?ここも、『リブロ』と同じで両親の知り合いの店なんだ。小さな頃から何度も来てたけど、今でも時々顔を出してうまいもん食べさせてもらってるんだ」

「そうなんだ。こんな有名なお店、なかなか来れないし、何だか得した気分かも」

「おう。俺と再会できて、ラッキーだったな」

慣れた手つきで玲華の頭をくしゃりと撫でた将平は、その手を自然に玲華の腰へと回し、そっと歩き出した。

「しょ、将平……?」

「この店、ドリアが有名だから、まずはそれからだな」

まるでこれまで何度も玲華を抱き寄せながら歩いていたように、なんのためらいもなく店へと向かう将平に戸惑い、おぼつかない足取りの玲華。

ふらりと揺れる体を更に抱き寄せる将平に、どきりとした。


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