極上エリートの甘美な溺愛
メニューから視線を上げた玲華に、将平はにやりと笑った。
「玲華に気に入って欲しいものなら、まだまだあるけどな」
「な、何?もったいぶったことばっかりをずっと言ってるけど、私で遊んでる?」
「いや、遊んでるっていうよりも、仕掛けてるってのが正解かな」
今度は「仕掛けてる」と言う言葉だけが耳に残る。
将平の表情も、何かを伝えようとしているのかどこか真剣に見えるが、玲華にはそれが何を意味するのかよくわからない。
もともと整っている顔は、高校時代の面影を残しながらも確かに大人へと成長を遂げ、微かな憂いを浮かべるという付加価値をも併せて向けられれば。
玲華が再び将平に気持ちを掴まれるなんて、簡単なことだ。
というよりも、高校時代に抱えていた幼い恋心よりも、今、将平に対して感じる思いの方が数段深いもののように思えてやっかいだなと思う。
将平を好きになって、再び拒まれてしまったら、簡単には立ち直れないだろうと、容易に想像できる。
「今の玲華は、もう俺のことは気に入ってないのか?」
「え?」
はっと顔を上げると、苦しげな将平の顔。
「今は高校の時みたいに俺の事、もう好きじゃない……よな」
そう呟いた将平は、突然、手の甲でするりと玲華の頬を撫でると、そのまま体を椅子に預けた。
そして、ため息交じりに天を仰ぎながら、くすりと笑う。
「まあ、それがわかってるから、仕掛けるんだけどな」
不安げに玲華を見遣るその顔は、それでもやはり整っていて、玲華は見惚れずにはいられない。