極上エリートの甘美な溺愛

将平に包まれた自分の手と、強く射る視線を受け止めようとしてもうまくいかない。

「将平……?『リブロ』で話したことは覚えてるけど、でも、それがどうしたの?」

玲華は戸惑い、か細い声で首を傾げた。

その間も、将平の手の強さが緩むことはなく、両手で玲華の全てを包みこむ。

すると、心細げな様子の玲華に気付いた将平が、ふっと肩を落とし、小さく息を吐いた。

玲華を見つめる視線の強さはそのまま、指先ですっと玲華の手の甲を撫でた。

「……っ」

その刺激に、玲華の口から小さな声が漏れた。

無意識に出たその声に、玲華が恥ずかしそうに頬を染める事にも構わず、将平は何度かそれを繰り返す。

心に宿る思いをどう口にしようかと逡巡しているかのようなその仕草は、将平の中にある思いを次第に大きくし。

そして、ようやく、というように口を開いた。

「できるなら、卒業式の前……玲華が告白してくれた時からやり直したい」

低い声。

どこか、震えているように感じるのは、気のせいだろうか。

玲華は、自分を見つめ続ける将平に視線を向けた。

どこか悔しげに口元を歪め、苦しみを抱えているとわかるその目。

玲華の胸も、ズキンと痛みを覚えた。

「あの日の玲華の告白、本当は嬉しかったんだ。俺だって、玲華と付き合いたかったし、卒業してからも一緒にいたかった」



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