いつか見つけてね。
「濱っちさん。

早く、出ましょう。


もう、いいですから。」



そう言って私はカバンを持って立ち上がった。



しかし、濱野さんはまだ少し苛立っているみたいで


「ごめんな。

でも、少しだけ外で待ってて。


すぐに行くから。」


そう言うと私を店から出して濱野さんは戻っていった。


夜の繁華街、それも会社員でごった返すこの辺りは右も左もわからない。


女性店員さんが急いで私のもとに来てくれた。


「濱野くん、いつもはあんなんじゃないんだけどね。


まだまだ若いっていうか。




プライドっていうか。

ヤキモチでしょうね。」


それから濱野さんが戻ってくるまで私は彼女と待っていた。


「知り合いなんですか?」

「ご贔屓の常連さんよ。


次は、個室でゆっくり食べてね。


大人って見苦しいでしょ。


それも酔っ払いは特にね。」


ははは、と笑うことしかできなかった。





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