いつか見つけてね。
いきなり現れた濱野さんにびっくりして、体が動かない。

固まったまま彼からの抱擁に突っ立っているとタミーが


「よかったね、美穂。

それから、サプライズありがとう。」


というからやっと頭が上げられた。

親指を上げて、よかったね、ってサインをだしている。

それを横目で見て私は濱野さんを見上げると


「ありがとう、タミー。」


濱野さんが彼女にそう言ってた。

「あの、ちょっと恥ずかしいです。

離れてください。」

そういうのが精一杯で、

「ああ。ごめん、荷物取りに行こう。」


そういうと彼は自然に私のカバンを取りもう片方の手は私の手を握り締めた。


「あの。どうしてここに?

タミーと知り合いなんですか?」

私は気になったことを聞いてみる。


「昨日、電話したんだ。そうしたら朝帰ってくるって言うから。」

濱野さんはとってもうれしそうに歩いている。


あやまらないと、着信拒否の件。


「ごめんなさい、あの。」

「あやまらないで。今日は一緒に過ごそう。話もあるし。」


それから、荷物を取るまで私は何も話さなかった。

話って、嫌だな。




タミーは史君にべったりで、大人の女になるって言っていたのに全くそんな気配がない。

でも、うらやましい。

そんな風に自分を表現できる彼女が。


「美穂、先に帰るね。

後で,史也に連絡くれたら一緒に遊ぼうね。ばいばい。」

二人はとっとと空港から消えていった。


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