いつか見つけてね。
電車に乗るつもりだったけど、濱野さんが車できていたので、

「ありがとうございます。」

そう言って彼の車に乗り込む。


空港から高速に乗っての道のりは反対車線は込んでいたけど、こっちは空港から戻るほうだったから比較的空いていた。


だから、あっという間に高速を降りてなじみの町に。


「朝食べた?

おいしいベーカリーがこの辺にあるんだけど、付き合って。」


そういわれて、うんと頷く。


まだすごく緊張している。


しばらく話していなくて、家も留守で、仕事にも来ていない濱野さんとどう接したら。


「美穂、疲れてる?

もし疲れてるなら、そのままテイクアウトでもいいけど?」


「いいえ、ここでいいです。」

また車での沈黙が怖いから。




そう言って、私たちはベーカリーでコーヒーとパンを買ってサンルームに座った。


「美穂、どうしてた?

東京楽しかった?」



まるで、今までのことがなかったみたいな話し方。大人の男はずるい。本心を隠してるんだから。




「楽しかったですか?私と遊んで。」


だから、私は嫌な女だと思ったけどはっきり突っ放した。

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