いつか見つけてね。
濱野さんと繋いでいた手が少し弱くなるのと同時に私は後ずさっていた。

そして、手が離れるのと同時に私はその場から逃げ出した。


傍にいるだけでいい、といわれた言葉がうれしかった。


でも、結婚したいといっていたのも確か。


私には意味がわからない。

二股されてるって事はわかった。


多分、それだけ、なんだ。


名前を呼ばれてる気がした。

でも、彼が追いかけてくることはなかった。



私はホテルを出るとそのまま裏手に向かって走った。


車道だと車から私が泣いているのが見えるから。



走っていると、ギュッと腕を掴まれた。


綺麗な顔をしたおばさんに、


「一人より、二人で食べたほうがいいから付き合って。」


私はこのおばさんの手を解かなかった。



どこかであったことのある顔だったから、



知り合いだと思ったから。




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