いつか見つけてね。
そして、私はこのおばさんに腕を組まれて一緒に歩いている。


「ねえ、今からこの先のお蕎麦屋さんへ行くの。おいしいのよ。」


「そう...なんですか。」

まだ少し泣いているから返事がまともにできない。


「こんなところまで来て泣いているなんて、


ここにはね、伝説の天女の話があるのよ。


聞きたい?



こんなところで泣かれちゃ、おばさん困ったな。」


そう言って彼女は私と一緒にベンチでずっと座っていた。


「大丈夫、ちゃんと迎えに来てくれるよ。」


そういったおばさんの言葉がすっと私の心の中に降りてきた。


濱野さんはいつも、迎えに来てくれるから。




いつの間にか涙が止まっていた、そして私は


「お腹空きました。そのお蕎麦屋さんに連れて行ってください。」


とおばさんに話すと、


「よし、そうこなくっちゃ。


ほっぺが落ちそうなくらいおいしいんだからね。」


そう言ってもう少し歩いたところにあった蕎麦屋へ入った。
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