いつか見つけてね。


母さんがいる産直へ行くと椅子に座って呑気にお茶なんて飲んでいた。


父さんに迎えに行かせればよかった、

俺はそのまま美穂を追いかけるべきだったんじゃないかと自問してしまう。



「おい、行くぞ。

父さん部屋にいるから。」

「さっき連絡があったわ。

これ荷物持ってね。」

そう言ってそそくさと車に向かう母さんに産直のやっさんが


「ありがとうございました。」

と頭を下げていた。




車の前でなにか光るものを見つけた。


これは、



さっき俺があげたイヤリングと同じだ。



もしかして、ここから美穂は帰っていったのか。



そう思うといてもたってもいられなくて、車に乗り込み母さんに


「母さん一人でこんなところまで歩いてきたのかよ?


誰か一緒だったか?」


と美穂が一緒だったのか、見たのか知りたかった。




すると母さんは、



「傷心した女の子慰めてたのよね。すごく健気でいいこだったわ。




可愛くて、健気でまだ損得も何も知らない、



計算高い誰かとは全く違うわね。」


まるで俺と美穂のことを知っているみたいな目で見られた。








< 175 / 322 >

この作品をシェア

pagetop