いつか見つけてね。


アキラの部屋に着くと携帯を鳴らした。

美穂が寝ていると思うとベルを鳴らして起こしてしまうのもかわいそうだから。


すると、アキラがリビングに通してくれる。


俺は目の隅に美穂のかばんがあるのを見つけ、彼女がここにいるんだと確信した。


「で、話聞いてあげる。弁解になるのかしら?

それとも、」


「全くのでたらめだ。

お前ならわかってくれるだろう。」

そう言って俺はアキラを見た。

昔からこいつとは仲間のように過ごしてきたつもりだ。


「さーね、男と女の関係なんていつどうなるかわからないものね。


驚いたわ。」


なんて、サラッと俺の言いたいことを覆してしまうような言い方。


「俺は、美穂のことを愛しているんだ。

だから、そんなことは全くない。

なのに、何を考えてるんだかあいつがあんなところに出没しやがって。」


「もしかして、政略結婚とか?


ちょっと今時それはないよね。」

なんて言いながら笑っている。


「んなもんするか。

美穂以外考えられないから。」

ストレートに俺の気持ちをこいつに聞かせた。

すると、またしても物怖じもせず




「愛人にするつもり?


ひどい人ね。


ま、あんたのその今までの素行がそう思わせるのも無理ないんだけどね。」




「お前なー。



信じられないかもしれないけど、

俺は美穂しか考えられないから。

アイツしかいないから。


昔の俺を知ってるお前がそういうのも無理はない。

けど、もうそんなことしない、信じてくれ。」


美穂と合コンをしてから俺は彼女だけを思ってきた。

彼女の体を求めてしまい、その後に一人残された俺の気持ちはどんだけ寂しかったか。

初めて結ばれて、その後に再会するまでどんなにも気持ちが傾いていったか。

彼女を抱いてからは俺は誰も考えられなくなってしまったんだ。

この体の細胞すべてが美穂を欲しがっている。


「わかってるわよ。

あんたが、マジだってこと。


だから、応援してあげる。


まったく、光信からこんなに女に対しての溺愛ぶり聞かされるなんてね。


もう、体中が痒くなってしまいそう。



はははっ。


今日は帰りなさいね。

で、明日ベーカリーによってワッフルを買ってきて。




よろしくね。」


美穂が好きなワッフルだとすぐにわかって俺は

「おう。

任せとけ。」


そう言って部屋を後にした。








< 185 / 322 >

この作品をシェア

pagetop