いつか見つけてね。


秘書室に入るとまりながいた。


「まさか、お前。」

口から勝手に言葉が出てくる。

そしてすぐに口をつぐみ彼女とは目を合わせなかった。


大友さんに連れられて親父のいる会長室へ行くと

「おお、来たか。もう顔合わせしたか?俺が彼女をここへ連れてきた。

お前の大事な未来の奥様だからな。

悪い虫がつかないようにそばにおいておけ。

母さんも昔俺の秘書だったんだ。

知ってるだろ。

親子揃ってなぁ。」


もう呆れて口も開かない。


「で、話はわかっただろう。


お前を本社へ戻す。

もう十分勉強できたと思ってるからな。


あのアジアでの一件はうまくやってくれた。

俺もそろそろ隠居したいんだ。




母さんの事があるし、


お前も、もういい年だ。

安心させてくれ。」

本社に戻るのは問題ない。

もう自分でも自信をつけてきたと思う。


しかし、まりなを秘書として迎えることは全く腑に落ちなく、むしろ置きたくもない。



「俺は妹尾じゃないと戻らない。

大友さんが親父にいたように俺には妹尾がいるんだ。」


「そうだな、結婚して子供ができると大変だからな。でも、本社付の秘書課においておくから。


いつでも手元にいるから安心しろ。」



おやじ、いい加減にしてくれ。





もう首を振るしかなかった。
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