いつか見つけてね。


秘書室に戻ると、まるで我がものかのように秘書室に座っているまりなを横目で見る。




大友さんも一緒に出てきたので、俺が重要なポストにいるとわかったようで、他の秘書たちが立ち上がった。


「みんな聞いてくれ、もうすぐ発表があるが、会長が職を退き、

こちらの濱野光信さんが社長になられる。





これから顔を合わせるようになるから、頼んだぞ。」


俺の顔を見て話したあとにみんなの方を見た。


見ただけで、驚いた顔をする秘書達は俺のことを多分知らないからだろう。


高校からアメリカ、大学を出てからもそのまま出向でこの会社には足を運んだことはない。



古株の秘書たちはここにはいない、パーティーでも俺が息子だと紹介されたことはないから。


アメリカに行っている、とだけ発表していたはずだ。




役員級の人だけが知る俺の存在に驚いたんだろう。

表情が面白く見えた。



俺は、そんな状況にふっと笑い


「そんなに固くならず、

これからよろしく頼む。」


そう言って俺が去ってドアを閉めた時に



「私が次期社長のために呼ばれた秘書だから、これからのことは私を通してからにしてちょうだい。」


まりなのあの口調に苛ついたのを見た大友さんが


「負けん気のある方ですね、」


と言うので


「あいつの世話をお願いします、決して俺と関わらないように。」


とくぎをさしておいた。



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